いやあ良かった。
どのショットも文句無しに美しい。
しかも、そのショットがすごく心地よいところで切り替わって物語が紡がれてゆく。
光も外光のみのシーンが多く、この時間にしか現れない光と影。その中、人物は明暗の境を渡り歩く。
時には闇に表情は潰れ、時には真っ直ぐなアナの目が闇の中浮かび上がる。
そんな、映像主体に作り上げられたかのような作品。しかし、そこに様々な象徴が含まれていて、1つは少女が子供であるからこその見える世界。もう1つは家族の関係の中に当時の政治情勢を詰め込んだといった話。
他にも様々な意味にとれる断片的なショットが並ぶ。
その一つ一つのショットは言語から解き放たれた見ることそれ自体の快楽を称揚するとともに、言語的な意味や象徴として見ることもできるという捻れを持っていて面白い。
あとはここに載ってたヴィクトルエリセのインタビューとかミツバチのささやきについての淀川の文、蓮實と武満の対談などが面白かった。これ以外にも読みきれないほどにヴィクトルエリセに関する文が載ってます。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~ginbanseikatsu/index.html/erice-5.htm