キャッチ30

山猫のキャッチ30のレビュー・感想・評価

山猫(1963年製作の映画)
3.9
上流階級を舞台にしたホームドラマだと思った。画面の中の豪華絢爛な世界も監督であるヴィスコンティ自身が貴族階級であるためリアリティがある。また、老いと若さの問題も見え隠れしている。

舞台は1860年のイタリア・シチリア島。日本では倒幕運動、アメリカでは南北戦争の前の時期だ。シチリアではイタリア統一運動の波が押し寄せていた。名門サリーナ公爵家の当主、ファブリツィオは一家で田舎の別荘へ向かう。その中には革命軍に志願した公爵の甥のタンクレディもいた。そこで彼は市長の娘であるアンジェリカに恋をする。ファブリツィオは二人の結婚を画策するが、若々しい二人を見て、時代の変化と自らの老いを感じていた…。

バート・ランカスターは滅びゆく存在だと自覚している公爵を屈強な肉体を持って演じている。ニヒルで野心的なアラン・ドロンの表情やクラウディア・カルディナーレと対比させることでさらに際立たせる。

ヴィスコンティは彼ら貴族階級のドラマを豪華な美術と衣装、スケールの大きな撮影によって表現している。物語の3分の1を占める舞踏会のシーンは語り草になっている。