半兵衛

春婦傳/春婦伝の半兵衛のレビュー・感想・評価

春婦傳/春婦伝(1965年製作の映画)
4.3
鈴木清順としては真面目に戦争映画を撮っている印象(かぶいているショットはある)だが、それ以上に狂おしいまでに愛する男への想いを貫き通す野川由美子の熱演に圧倒される。野川の演技も素晴らしいけれど、それ以上に美しくまるで女神のようで、彼女の一挙手一投足に眼が釘付けになる。そして彼女の暴走が戦争の虚構をつぎつぎと暴く。一方で相手役の川地民夫は終始おどおどしていて、割りを食っている感じに。むしろ野川を愛人にしている川地の上司役を演じている玉川伊佐男のサディスティックな悪役ぶりが素晴らしく、野川と玉川の絡みが鈴木清順が好む異常性愛の世界を見事に体現している。

みんな言ってるけど、野川由美子が砲弾飛び交う戦場を走り抜けるシーンは映画史に残る名シーン。
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