Kamiyo

ペリカン文書のKamiyoのレビュー・感想・評価

ペリカン文書(1993年製作の映画)
4.0
1994年 ”ペリカン文書” 監督.脚本アラン・J・パクラ
原作 ジョン・グリシャム
ジョン・グリシャム原作の映画は「レインメーカー」
「依頼人」「ザ・ファーム/法律事務所」などを観ている
立て続けにリーガルサスペンス小説を書き上げて。
それらが映画化 シリアスな内容が多く
1990年代のベストセラー作家として知名度は高い。
監督は「大統領の陰謀」のアラン・J・パクラだ

物語はワシントンD.C.で最高裁判事のローゼンバーグと
ジェンセン判事の暗殺から始まる。
昔ローゼンバーグの元で事務官をやっていたトーマス・
キャラハン(サム・シェパード)はローゼンバーグの
死に愕然とする。
恋人でキャラハン教え子の法学生ダービー・ショウ
(ジュリア・ロバーツ)はテレビの特集で見た環境保護の番組をヒントを得て、ある仮説を打ち立てて
レポートに書き上げ キャラハン教授に提出します。
キャラハンが友人FBI長官顧問のヴァーヒーク
(ジョン・ハード)にこのペリカン文書を見せる
「ペリカン文書」と呼ばれたそのレポートをめぐって
次々と殺人事件が起こり始めました。

そうとは知らぬダービーの眼前で、
キャラハンの自動車が爆発炎上して彼は死亡した。
車を降りていて危うく難を逃れたダービーは、
何者かに命を狙われていることを確信する。
論文は偶然にも事件の真実を突いていた。
ヴァーヒーク暗殺の実行犯の男にカーネル
(スタンリー・トゥッチ)が彼女のそばで殺される

真相を解明しないと自分も殺されると
身の危険を感じたダービーはキャラハンがファンだった
ワシントン・ヘラルド紙グレイ・グランサム(デンゼル・ワシントン)に助けを求めることになるのですが。。

ジュリア・ロバーツ、まさに旬なんでホント!!かわいい
キャラハン爆死のシーンの泣き叫ぶ演技がものすごく
リアルで一気に物語のシリアスな雰囲気に引き込まれます。

いち法学生の仮説が偶然にも政界の暗部を突いていた為に国家的陰謀に巻き込まれるという着想は非常に面白さを感じました。終始ジワジワとした緊迫感に溢れていて
重厚で落ち着いた演出なんです

僕はこの映画は好きです。俳優陣はもちろん、ダービーとグランサムにどんどん迫ってくる暗殺者との手に汗握る攻防や、いい意味でエンタメ性の薄いストーリー展開も
無理なアクションがないところも、取って付けたような恋模様がなかったのもすごく評価したい点です。

僕は当時、この映画を見てデンゼル・ワシントンってカッコイイ!って思ったんですけど、特にアクションとかがあった訳ではなかったんですよね。
精神的にダービーを支え、守り、真相を暴くべく行動していた、というところに人間的強さを感じたんだと思います。
ブラウン・ペリカンは絶滅寸前の鳥で、ニューオーリンズのあるルイジアナ州の「州鳥」です。
このブラウン・ペリカンの生息地を破壊し開発を目論む
大企業、大統領選挙の内幕などが絡み合い、想像を絶する陰謀が展開します。

ラスト、事件後に、大統領補佐官は辞任、大統領は次期選挙が絶望的というニュースのみ流れて彼らの情報はそれっきりなので、彼らもきっちり天罰を食らう的な展開を期待した人には物足りないかもしれません。

個人的には、ラストの物足りなさの裏にある妙なリアル感が見終わった後の余韻を引き立てていました。
現実世界でもこんなもんだよね、意外と罰って受けてないよね、という風に、以前どこかで感じたような偉い人達の事件後のうやむや感を思い出して共感した次第であります。
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