トランスマスター

十戒のトランスマスターのレビュー・感想・評価

十戒(1956年製作の映画)
5.0
♯29(2025年)出エジプト記

舞台は紀元前1200年頃のエジプト
ヘブライ人がエジプトの奴隷だった時代、男の子モーセが生まれる。エジプトの王ファラオラムセス一世はヘブライ人の男児を全て殺す命令を出すが、モーセは籠に入れられてナイル川に流され、ベシア王女に救われて育てられる。

成人したモーセは、出生の秘密が明らかになり、エジプトから追放される。砂漠を彷徨った後、シナイ山で神の啓示を受け、ヘブライ人を解放する使命を得る。エジプトに戻ったモーセは、王となったラムセス二世にヘブライ人を解放するよう求めるが、ラムセス二世は拒否。神の十の災いがエジプトを襲い、ラムセス二世の息子も犠牲となる。

遂にラムセス二世はヘブライ人の出国を許し、モーセ率いるヘブライ人たちは紅海を渡る。エジプト軍がチャリオットで追いかけるが、神の奇跡により海が二つに割れ、ヘブライ人たちは逃れる。シナイ山でモーセは神から十戒を授かるが、一方ヘブライ人達はモーセ不在の時に偶像崇拝と快楽にふけっておりモーセがブチ切れる旧約聖書をベースにしたお話です。

◆良い点/注目ポイント
・主演を演じるチャールトン・ヘストンが、創造主の声も兼任しています。厳かな威厳のある声が渋い。神ってます。
・杖が蛇になる、燃える雹を降らす、紅海が割れる、石板に十戒を刻み込むシーンなど当時の技術(約70年前)では高度な特殊効果です。
・主人公のモーセは聖なるシナイ山で唯一神から授かったありがたい石板を手榴弾のように使ってしまう信心深いのか無神論者なのかよく分からないところが驚きです。おそらく神社のお札とか投げちゃう人。
・王宮の贅沢な暮らしや、王位継承権を捨てて神の道を極めるモーセの姿は、悟りを求める仏陀の出家と重なります。

◆改善点
・無し。スペクタル超大作。

◆総括
・私はエジプトのカイロにあるエジプト考古学博物館で今作のヴィランであるラムセス二世のミイラと対面して、彼の巨像が鎮座するアブシンベル大神殿の中に入りました。
自分の巨像を作りまくる自己顕示欲の強いファラオだなと思っていましたが、モーセへのコンプレックスで闇落ちしたロキの姿と重なり色々腑に落ちました。
また妻のためにアブシンベル小神殿も建立したらしく愛妻家なんだなと感心していましたが、彼の妻が実の妹だったことが今作で判明。
『Game of thrones』のラニスター家といい王族の間では近親相姦が普通なのでしょうか?

-2025年29本目-