めしいらず

タカダワタル的のめしいらずのレビュー・感想・評価

タカダワタル的(2003年製作の映画)
3.0
二十歳くらいの頃にBSで放映されたフォーク大全集なる番組。その中のミニライブのコーナーで初めて知りたちまち魅了されてしまった伝説的フォークシンガー高田渡(その時は坂崎幸之助と南こうせつがサポートしていたなぁ)。彼の晩年のいくつかのライブとその舞台裏に密着したドキュメンタリー。高田の被写体としての面白さ。それは時に辛辣な風刺、時に弱者への共感を歌う楽曲であり、肩の力が抜け切り世俗的な欲とは無縁な氏の湛えた独特な風情であり、己のやりたいことだけをブレずに最後までやり通した稀有な生き様への羨望でもあるだろう。例えば「値上げ」や「生活の柄」辺りを聴けば高田が如何な人物か理解できる。本編は昔からの音楽仲間や子息とのライブ映像が中心に構成されているのだけれど、尺が短い分、ドキュメンタリーの割に舞台裏やブライベートの部分が少ないのが個人的には少し残念。尺を長くしてその部分も増やしててくれていたら、高田の人となりがより伝わっただろうと思う。
映画本編で使われなかったライブの映像が付録に収録されている。そこでは高田のみならず、彼を敬愛して止まぬ友人たち(柄本明やベンガル、蛭子能収ら)も歌唱を聴かせてくれる。中でも蛭子の「ヨイトマケの唄」が印象に残る。全然上手ではないのだけれど、照れながらも一生懸命に歌い、彼の歌詞への共感がこちらに伝播してくるようだった。
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