雨丘もびり

ブラザーズ・グリムの雨丘もびりのレビュー・感想・評価

ブラザーズ・グリム(2005年製作の映画)
3.0
【お金が無いと作家性を守れない】
幼い空想家のあやまちと悲劇。
キャラクタが傷を負い、成長するにつれて葛藤を生じる描写、端的で技アリ。

村の子供たちがファンタジーに取り攫われてゆくのを大人たちが恐怖する様子や、子供たちを食い物にして私欲を満たす魔女の描写、下衆親の狼男など、黒い笑いを誘うステキな要素がたくさん。
「子供たちが楽しめるキャラも登場するよ♪」って言ってたけど、この泥人形がぁ!?!?!?無理っ(^"^#)。

魔女を倒すぞ!という冒険ストーリーは取ってつけました!アメリカ配給なので!みたいな腹の内が丸見えなので、中盤以降ガクッと失速するのは庇いよう無いんだけど(^^;)
監督が撮りたい物は写しきった印象あり。

フィクションに入り浸りすぎた大人が子供を苛む、という警告めいた筋書きは、同時進行で製作されてた『ローズ・イン・タイドランド』の方が密度も熟成度も高いので、私はあっちの方が好き。
暴走する個性の時代たる20世紀の終焉。

ジェイクからもウィルに「信頼してなくてごめん」って言えたの素敵。
宮崎駿さんには、こういう機微は来世で理解してもらえたら。

「それから彼らは幸せに暮らしましたとさ」
「違うかも」