ニクガタナ

善き人のためのソナタのニクガタナのレビュー・感想・評価

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)
3.8
1984年からベルリンの壁崩壊後2年までの東ベルリン舞台。孤独な国家保安省シュタージの局員が、反体制の疑いのある劇作家と女優のカップルを盗聴監視するうちに魅かれて生まれた秘められたいびつな絆。反逆、裏切り、疑念、葛藤と監視社会ものの魅力が詰まってる。切ない!いい!面白い!高評価も納得の脚本が素晴らしい!劇伴も的確。冒頭の尋問シーンから主人公の冷徹なキャラ付けがしっかり成されて、その後彼が少しづつ変わっていく描写が見事。夜の営みにまで想いめぐらす変態風味に、忍び込んだ部屋から本を失敬しちゃったり、娼婦に甘えてみたりおかしくも切ない。佇まいから完璧。彼の人生を想うとなんか泣けてくる。HGW XX7に私からも感謝を捧げたい。他出演者もキャスティングが秀逸で、劇作家は渋く、女優が綺麗。デブでクズの大臣のクソぶりが輝いてた。最後は本屋にて「ギフト包装は?」に答える気の利いた善き終い。晴天の休日昼に観るようなもんじゃなかったが、善きものを観た。大満足。
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