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善き人のためのソナタのsnatchのレビュー・感想・評価

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)
4.2
固唾を飲んで見守るってこういう状況の事を言うんだな、緊張で口がカラカラ🥛
人間の変容を事細かに描いていて、映画作品として嘘が無かったように思う。
東西冷戦下の東ベルリン、悪人善人といった一方的な描き方ではなく、人間がいて、その人間の中には心があって…

冷静な画質で淡々と映像が進んでいきますが、サスペンス風でもありドラマ仕立てでロマンチックな所も面白い。この映画タイトルが映画の核として、大きく展開が回転していくアイディアとその場面にも感動した。

国家保安省局員のヴィースラーは、国家のコマとして冷徹な尋問官に徹し監視されない側として生きているが、もとは多感な普通の人間であったのであろう。いくら抗っても五感に触れてくるものがある。じんわりと豊かな感情が滲み出してくるばかりだ。そして、そんなヴィースラーを監視しているようなiPad越しの私の心も上に下に乱れる。

党のための盾と矛となりというセリフがあると同時に、彼の中に矛盾が生まれたからこそ、そこに人間らしく生きていける救いがおりたのだと思う。脳や手は監視員として動かせど心がキャッチするものは自由だ。険しく残酷な道が待っていたけれど、自分の心に従ったのだ。

芸術家たちを気分次第で失脚させていく大臣を演じた俳優が本当に凄いクズのクズで👏
共産主義体制の下で監視 密告に晒される人達のそれぞれの複雑な心情や選択、望まない末路も描いていた。
エンディングも上手いです🥺エンタメ作品も作れるのではと思った。上手すぎ〰︎👆この時、監督33歳にも驚いた。

あと、どっかで会った顔だなあと思っていたらヴィースラーは「ファニーゲーム」のパピーではないか😆やだ、ごめんね、気付かなくて🤭
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