1984年
まだ分断されていたドイツ。
東ドイツの諜報機関シュタージで働くヴィースラー。
新たな任務は劇作家ドライマンと恋人の舞台女優クリスタを24時間監視するものだった。
それも、腐敗した政治家である大臣がクリスタに横恋慕しているのが原因という…
任務の中で
詩
音楽
愛しあう者同士の悦びに触れ
盲信していた仕事に芽生え始める疑問。
揺れながらも、「善き人」として歩きだすヴィースラー。
そこには、心の奥底に押し殺していた憧れに似たような思いがあったのではないだろうか。
本当は彼だって欲しかったんだ。
寡黙で実直という設定もあるのだろうが、ベラベラと語るのではない。
振り向く時
話す時
見つめる時
ちょっとしたタメのような小さな動きに窺える
喜び
戸惑い
恐れ
悲しみ
派手ではないけど、最後に到るまでそんな抑えの効いた美しい演出がされています。
特に、ヴィースラーとクリスタの向かい合うシーンはとても良かった。
噂通りの素晴らしい作品でした。