Ojigi

善き人のためのソナタのOjigiのレビュー・感想・評価

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)
4.2
「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」

あらすじ
1984年の東ドイツ。国家に忠誠を誓う国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉は、反体制の疑いのある劇作家とその舞台女優の恋人を監視するよう命じられる。しかし毎日盗聴を続けるうちに…。

号泣。
感動というよりは悲しい涙💧

秘密警察シュタージには正規職員9万人の他に18万人の公式報告者がいて、家族や知人のことを国家に密告していたそうです。そんな旧東ドイツの息もできない監視国家ぶりを描いた作品です。

タイトルにもなっているソナタは一つのきっかけにすぎず、主人公はもともと善の心を持っていたと思います。
だから「善き人のための」ソナタなのかもしれません。
しかし本来善人でも国家と自分が正義だと思い込んで、命令に従い続けるロボットのようになりうるのが怖いところです。

社会制度はその時絶対的に思えても、十年後どうなっているか分からない不安定で脆いもの。
自分だったらどこまで自分の良心を貫けるか考えてしまいました。
人に気づかれない善行は究極の善行なんじゃないかなあ。

最後の台詞がいいです。
心に響く映画でした🎧
Ojigi

Ojigi