原作はかなり昔に読んだのだけれど映画は初めて。
原作の主人公は「昔はヨカッタ。ダンナさま万歳」が過ぎて、記憶もいささか歪みがちだったような ......
そのせいで、本人は仕事への誇りと考えているものが、けったいな見栄張りとしか思えず、滑稽だなぁと思った、そんな印象だけが残っている。
さて、映画。
アンソニー・ホプキンスーーーが主役だが、おぉ、若き日のヒュー・グラント! 在りし日のクリストファー・リーブス!
この二人の、それぞれ英国的・米国的な若者ぶりが、当時の英国の雰囲気を盛り上げてくれました。
ヒュー様の英語の響きは、いつでもどこでもとてもチャーミングですね♪
で、アンソニー・ホプキンス。
堅物で知性的ーーに見えるが、実は小さな世界で執事というイケてる仕事に尽くしちゃってる、そんな井戸の中のイイ人っぷりが上手い。上手すぎる。
権力者たちが、間違った方向に暴走していくのを 職務というハコの中に収まって 自分で考えようともせず ただ傍観している。。
かなり皮肉でもある。
対するエマ・トンプソンはもう少し知的だ。
己れの非力を知り、恥じている。
ただ、物語の軸はソコではなくて トンプソンは 執事ホプキンスが好きなんだけれども、彼が全然関心を寄せてこないんで振り切って前に進む。
ホプキンスは、トンプソンがそばにいてくれることを望んでるんだけど、そこも自分で考えることを放棄してて、都合のよい職務上の理由メインで動く。
そのピンボケさとすれ違いが哀れ、なんだけれども。
なんで トンプソンはこの執事男がいいの?? ってところがどうもピンとこない。
そのピンと来なさが、当時は 執事って イケてる仕事だったんでしょ、ってことにつながってしまう。。
嗚呼、落日の世界よ.......