かめの

日の名残りのかめののレビュー・感想・評価

日の名残り(1993年製作の映画)
4.9

カズオ・イシグロの小説がなんとなく苦手で(本人は好き)、NHKで録画したまま観ていなかった作品。一分たりとも無駄なく、素晴らしかった。

スティーヴンスの生きる基準が執事として正しいか、あるべき姿であるかという点に収斂してしまっているのが悲しい。

スティーヴンスが感傷的な恋愛小説を読んでいたのを恥じる場目や、彼が全く心のうちを見せてくれないことに傷つき、暗い扉の向こうにゆっくり消えていくケントン、雨の日の別れが印象的。

泣いている女の人に、上手いこと一つも言えない不器用さんに乾杯。
かめの

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