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フランケンシュタインの花嫁のryosukeのレビュー・感想・評価

3.7
最初に前作のおさらいをしてくれる親切設計。一応原作者との会話という体で理由がある形で見せる。
シネマヴェーラ所蔵の16mmフィルムということで、画質がぼやけていたのはまあ予想の範囲内だったが、文字がでかい手書き字幕のクセが読みづらくてちょっと参った。
翌年に公開されたトッド・ブラウニング「悪魔の人形」と同じように小人の合成が楽しめる。本作では海藻から作ったという小人だが、その合成は時代を感じさせないレベルの高さで、ジタバタしている小人をピンセットで持ち上げて動かすところなど凄い。
フランケンシュタインの怪物は取り付けられた鎖の拘束器具を即座に破壊し、外でこれで一安心みたいな会話をしている群衆の光景はすぐにパニック描写に変わってしまう。前作よりも太刀打ちのできないモンスター感が増していた。
前作から一貫して、主人公サイドは人の手による生命の創造は神に対する冒涜なのだというモラルを前提にしているが、怪物と交流をする盲目の男は神が友人を与えてくれたのだと述べ、二つの解釈が衝突する。どちらが正しいとも示されないが、前作も本作も、神に背いたからではなく人の異質なものへの無理解、不寛容こそが悲劇を産んでいるようには見える。
タバコをふかして”good“とご満悦な怪物が可愛い。前作より知能が格段に高くなった怪物は自らの創造主を把握している。怪物は「生 悪い、死 良い」という価値判断を有しており、そんな彼が自らに生を与えたフランケンシュタインの名を呼ぶシーンは、前作における対峙よりも怖い。奇妙な容貌のモンスターとはいえ、やっぱり内心こそが怖いのかもしれない。
怪物が怒り狂いながら傾いた墓標の並ぶ霧がかった空間を進み、木を引っこ抜いたり像をぶっ倒したりするシーンが素敵。やはりホラー映画では、現実世界とは違うどこかにふと紛れ込む瞬間が存在してほしい。
プレトリアスの塔の内部は一瞬前作のセットの使い回しかと思った。前作の風車小屋と同じように、高い天井の一階に入ると画面右側に石階段があり、そこを昇ると前作と同じような装置の並んだ実験部屋がある。燃えたはずの風車だが、結局ヘンリーは罪の空間から逃れることはできないということだろうか。
電気のエネルギーで命を与えるために怪物の素材が上昇していくシーンは前作にもあったが、凧、二人の男のクローズアップにダッチアングル、電気がバチバチしている謎の装置のカットが細かくリズミカルに重ねられてダイナミズムが生み出されており、前作のそれよりスペクタクルに改良されている。
そうして出来上がった花嫁だが、キエーッと叫んだり首をカクカク動かしたりするし、醜い怪物と違って美形だしで全然別物の仕上がりとなっており、到底仲良くなりそうもない。実際、同じ人造人間だからといって花嫁になるだろうなどというのは酷い偏見だろう。案の定怪物は拒絶され、哀しみの中で今度は自ら終止符を打つ。前作と同じように、やはり暗い狂気の塔は崩れていく。
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