ミチ

彼女が消えた浜辺のミチのレビュー・感想・評価

彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)
3.9
アッバス・キアロスタミやマジッド・マジディなど、味わいのある作品を作る監督の多いイラン。

政府の検閲などがとても厳しく、そういった中で試行錯誤して生まれる映画は、とても繊細で心理描写が秀でていると思う。

この作品も謎の女性エリをの正体を追うサスペンスタッチで描かれてはいるが、軸となっているのは謎解きではなく、極限状態の人間の心理描写。

作中、男女のグループが旅行へ行くのだが、エリはグループの中のセピデーという女性が連れてきた人物で、彼女の子どもの通う保育園の保育士。

セピデー以外の人たちはエリとは初対面なのだ。

この距離感が絶妙。

最初からみんな家族のように過ごし、エリも打ち解けているかのように見えるし、エリがいなくなったときはみんな必死でエリを探し、悲しむ。

しかしエリの失踪の責任が自分にも降りかかるかもしれないとなった時、人間の本質がボロボロと出てくる。

その少しずつ変わっていく心理描写が本当に巧くて、ぐいぐいと引き込まれた。