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彼女が消えた浜辺のkotchanのレビュー・感想・評価

彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)
3.8
アスガー・ファルハディ監督は2作品目。
『別離』を先に観ましたが製作されたのはこちらが先です。海辺の別荘での心理ミステリー。

冒頭30分ほどは退屈です。顔と名前が覚え切れず人間関係もわかりにくい。バカンスとは言え、テンション高めの独特のノリが好きになれなかった(^^;)イランの人達もこんな陽気にはしゃいだり踊ったりするんだなってのは少し新鮮でしたけど 笑。
今作も音楽なし、効果音なし、説明なし。観る人によって印象や解釈が異なりモヤっと感も強い。『別離』ほど中途半端な終わり方ではないけれど、最後をどう捉えるかは意見が分かれそうです。

タイトル通りの内容ですが、「彼女が消えた」後からが本題だと言えます。ここからが本格ミステリーっぽくて面白くなっていきます!重いですけど。
残された人間たちがエゴを剥き出しにし、責任を押し付け合い、態度が変わっていく。嘘と隠し事も露呈していき、事態は深刻化していくばかりで出口が見えてきません。
「彼女の名誉のために。」
本心からの言葉かもしれないけれど、僕には自己保身のための都合のいい言葉にしか受け止められませんでした。

観終わった後はしばらく考え込んでしまいましたね。これこそがファルハディ監督の思惑通りってことなのだろうか。どんより暗〜い気持ちの我々を想像してドヤ顔しているかと思うと"悪意"しか感じませんね 笑。
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