ぽこたま

マイ・ブラザーのぽこたまのレビュー・感想・評価

マイ・ブラザー(2009年製作の映画)
4.5
何を恨めばいい。
何に当たればいい。
登場人物全員の気持ちが分かってしまうから余計に胸が痛い。

寂しさとの時間の向き合い方。
帰ってきた時の晴れやかな気持ちとは裏腹に、すっかり前とは環境も関係性も変わってしまっている。
この寂しさ。
だがサムは国のために貫き通した魂を売ってまで、家族のもとへ帰りたかった。
戦友を殺めてまで、君に逢いたかった。
だからこそ今がものすごく寂しい。
この摂理がとても悔しい。
みんなの気持ちは決して間違っていないのに。

ただ最後にひとつだけ救いがあった。
この家族に希望はあるのだろうかと不安に思ったので、それが何より嬉しかった。
「戦争の終わりは死者に訪れる。」
だからこそサムは一度死んでよかったのだろうか。
いやそうであってほしい。
またやり直せる。生きていける。
なんだか僕はそう信じられる。

大好きなジェイクギレンホール。
大きな犯罪を犯し、酒や喧嘩に溺れる荒々しさもありながら、それで傷ついた人に対する誠意をも見せる。
そして何より1番に家族を守りたいという愛深さ。
全てが素晴らしかった。
ぽこたま

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