出来損ないの弟の立場から、兄への嫉妬心、父親との確執、兄が置いて行った兄嫁との親交や、兄から弟への猜疑心など
が描かれる。
強盗事件を起こして出所したばかりの弟をジェイク・ギレンホール、軍人でアフガンへ出征した兄をトビー・マグワイア、義弟を毛嫌いしている兄の妻をナタリー・ポートマン、理想通りに育たなかった弟を嫌っている頑固な父親をサム・シェパードが演じる。
リメイク元はデンマーク映画だとか。
面白いのは、弟の再生物語としての側面が、兄を苦しませるひとつの要因であり、またそこから兄が再生する物語だということ。
他人の不幸は蜜の味…ならば、人の幸福はどんな苦い味がするんだろう。
それが愛する妻子と信じていた弟の仲睦まじい姿だったらどうだろう。
苦いなんてもんじゃないはずだ。兄は地獄から生還するために大きすぎる犠牲をすでに支払っている。
しかし、兄の後釜になることで弟が社会復帰できたのもひとつの真実だ。
妻と弟、同じ大切な人を喪った者同士の交流が、弟に他人や自分自身を信じさせるきっかけになったのかもしれないということ。
さらには妻の寂しさを紛らわせて、妻と娘たちを見守っていたのもやはり弟なのだ。
だが、やはり兄が生還したとなると、それは意味が違ってくる…。
難しい。人と人との間に正解なんてないのかもしれない。
11/19 マイ・ブラザー(2009) 録画吹替