映画の道化師KEN

エクソシストの映画の道化師KENのネタバレレビュー・内容・結末

エクソシスト(1973年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

悪魔憑き映画の代表作品!

監督は「恐怖の報酬」のウィリアム・フリードキン。主演は「さよならチャーリー」のエレン・バースティンと「トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン」のジェイソン・ミラー。加えて、「青い渇き」のリンダ・ブレア、「第七の封印」のマックス・フォン・シドーらが共演!

女優クリスの12歳の娘リーガンはある時から何かに憑かれたかのようにふるまうようになる。彼女の異変は顕著になるが病院の科学的な検査でも原因は判明しない。やがて醜い顔に変貌したリーガンは緑色の汚物を吐き、神を冒涜するような卑猥な言葉を発するようになる。悪魔が彼女に乗り移ったのだ。

70年代の大半の人にトラウマを残した普及の名作。少女リーガンの純粋無垢な顔から不気味なキモグロフェイスの顔芸や360°回転する柔軟すぎる無敵首関節のメリーゴーランドなどホラー映画としては十分なクオリティである。そして、この作品を主軸としているのは悪魔対神父、医学対宗教と対をなす関係にある。主人公クリスがリーガンを救う為に先ず、医学に助けを求めるが効果は無く、最終的に宗教に救いを求める。カラス神父の視点では精神医学のみしか信じられず、神に対して不審しか持てずにいたが、リーガンをきっかけに再び聖職者として立ち上がる。母と娘、神父と一見関係のない者たちが最終的に「信仰」に繋がるようになる設定はよく出来ている。更に、この作品はそれだけでは無く、宗教的な哲学としての側面も持っていて、影の主役であるカラス神父が失った信仰を取り戻すまでの軌跡が正に、それだ。カラス神父は精神科医でもあり、前半では信仰よりも医学を優先する。しかも、母の死をきっかけにはそれは深い溝となって余計に、信仰心を失っていく。だが、悪霊パズズに取り憑かれたリーガンと出会うことで精神医学ではどうすることも出来ない状態に陥り、カラス神父は自身の信仰心で立ち向かうことを余儀なくされる。これは人間が神の存在を信じれなくなったことへの恐怖に通じており、これは作品に込められた大きなテーマだ。信仰
心を失い、堕落している我々、現代人の警鐘とも言えそうだ。

作品のストーリーと演出は神がかっていることは最早、言うまでもないが、撮影の裏側で監督が俳優の耳元で拳銃をぶっ放したり、いきなり平手打ちを顔面に食らわせるキチガイ監督ことフリードキンのドS演出に耐えた役者陣に敬意を払って、鑑賞したい!