ああ、こんな映画だったのか。少女の首がクルクル回るということしか記憶になかったけど、観直してみるとショッキングなシーンというのは案外少なくて、娘が訳のわからない病に取り憑かれてしまって、狼狽する母親の心理的ダメージが丹念に描写されてる映画なのだった。まあ、確かにそのほうがずっと怖い。病院に行っても、医師たちが超常現象を認めないで、なんだかんだと医学的な説明をつけて解決しようとされてしまう。ああ、わかるなあ。親として自分の子供が化け物になっていくのをどうすることもできないというのは本当に怖ろしい。正直いって、悪魔という存在は想像の世界のものとしか思えないのだけど、キリスト教圏の人にとっては、もっとリアルに悪魔と恐怖が結びついてるものなんだろうか。まあ、そのあたりの心理的な感覚のギャップはさしおいたとしても、この映画はホラーとしての雰囲気が抜群によくて(映像の格調が高い!)、恐怖というものを表面的なコケおどしじゃなく、容易に立ち入れない場所にある理不尽で説明不能なものとして描いているのが見事だと思う。