これは作品鑑賞というより、映画史学習
古典研究、みたいなものかな。
日本映画最初の本格的トーキー映画、
1931年って、満州事変の年、
歴史の1ページ的な作品だから、
今観て、面白いとか感動するとかの判断は難しい。
何しろ、タイトルも「房女とムダマ」ですからね、、
世界初のトーキー映画は、1927年の「ジャス・シンガー」と言われている。
(1928年のディズニー作品が本格的だとする説もある。)
それから3年後だから、割と早く日本映画界も対応したんだなと思いました。
さあ、「映画から音が出る」
そのことにワクワクして作り手が楽しんでいるのが伝わってきました。
冒頭の口笛や鳥の鳴き声、犬や猫の鳴き声
喧嘩の声、目覚まし時計、子どものおもちゃ
近所のジャズ演奏などなど
生活音が60分の中に盛り込まれています。
特に、原稿が書けない小説家の邪魔をする
音、つまり、雑音や騒音を表しているのも面白い。
音=いい音ばかりじゃないよ、ってところがトーキーの良さと同時に、
騒音が主人公を悩ますみたいな、この余裕もいいなあ。
主演の篤辺渡 いや、渡辺篤さんは、
映画創生時から活躍されている喜劇役者さんで、コミカルで面白い。
「七人の侍」の饅頭売り
「用心棒」の棺桶屋などにも出ている。
若奥さん役が、田中絹代さん。
初々しい。誰かに感じが似ていると思ったら、黒木華さん。
ここから、日本映画の歴史が始まった。
ラストの「青空」は、広がっていくだろう日本と日本映画の明日を暗示しているように感じました。
(すぐに暗黒の時代が待っているとは、、)
スコアは、記念碑的な意味合いで付けさせてもらいました。