キューバ移民トニー・モンタナは犯罪歴によりアメリカでまともな職に就けずうらぶれていたが、持ち前の度胸とハングリー精神でマイアミの裏社会をのし上がる
絶大な金と権力、愛人を手に入れたかに見えたモンタナだが、次第に商品であるコカインに溺れるようになり……
モンタナおにいさんのアメリカサクセス&破滅ストーリー!
裏社会の男が暴力でのし上がり、好き放題の挙げ句失墜するストーリーね、はいはい、なんか見たことありますわこういう話〜……
と思ったのが私のバカさ
そもそも「そういうストーリー」の元祖に近い作品なのだと思う
順序が逆!
未だ尚カルト的人気を博す今作だけど、私は正直どうしても音楽やカットのテンポなど古臭いというか刺激的とは素直に言えないなーと感じました
これは誰も悪くない
仕方のないこと………
ただ、この「持たざる者」トニー・モンタナが剥き出しの野心を武器にのし上がり、好き放題やった挙げ句に破滅するという物語のヌラヌラギラギラギトギト感は、どの時代の「持たざる者」(と少しでも自分で思っている者)にも刺さるのではないだろうか
都市部の貧困黒人層の若いラッパー達の間で主人公トニー・モンタナがアイコン的な存在となっていた、なんて話もあるが、それもなんとなく頷ける話
それほど今作の主人公トニー・モンタナ演じるアル・パチーノの顔力は凄い
ギラギラした目、への字に曲げた口、雑に吸う葉巻、コカインまみれの鼻
高級スーツをだらしなく着こなしすそのたたずまい
決して憧れはしないけど、いなたい「ワル」の魅力がそこにある
なのに
金、ドラッグ、女に溺れて大破滅
という展開も、潔くない最後も含めて謎の愛嬌を感じてしまいました
正直、破滅モノならもっとすんなり楽しめる作品が既にこの世にはあるけれど、源流に触れるという意味でも面白い作品
しかし「美しい」とされているモンタナの妹の髪型とメイクが古過ぎて「ふざけとんか」と思ってしまいました
あの頃のマイアミは木の実ナナだらけの世界