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スカーフェイスの東京キネマのレビュー・感想・評価

スカーフェイス(1983年製作の映画)
3.5
1932年製作、ハワード・ホークス『暗黒街の顔役』のリメイク。旧作は93分とコンパクトな佳作ながら本作は170分と呆れるほど長いです。確か、映画『デ・パルマ』では、デ・パルマ本人が本作はアル・パチーノの持ち込み企画だったと言っていた記憶があるのですが、ああ、なるほどね、アル・パチーノはこういう役がやりたかったのね、という感じです。

映画『ゴッド・ファーザー』(1972年)の特典映像で、アル・パチーノがソニー役で、ジェームズ・カーンがマイク役を演じているスクリーン・テストを見たことがあるのですが、個人的には、こっちの方がキャラクターに合っているような気がしましたが、さすがコッポラです。ソニーをアル・パチーノが演ったら、本作のトニー・モンタナになっちゃったんだろうなあ、というのが解っていたんじゃないでしょうか。そのくらい、この映画のアル・パチーノはちょっとやり過ぎで下品です。

やっぱりデ・パルマは自分の企画じゃないと、キャラのテイストが作りきれないというか、あれだけキャラクターの作り込みに拘る人なのに、なんか居そうだけど現実世界には決して居ない映画用のキャラになっちゃってます。というより、主人公が人格破綻者じゃ「美しいサスペンス映画」にはなりません。キャラクターが遊離しちゃうんですよね。この作品の前々年が『ミッドナイトクロス』で、1年後に『ボディ・ダブル』ですからね。勝手に言わせてもらえれば、この仕事はやらなかった方が良かったと思います。脂の乗ってるこの時期に、この企画はあまりにも勿体ないです。。。
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