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砂の惑星の盆栽のレビュー・感想・評価

砂の惑星(1984年製作の映画)
2.4
デヴィッド・リンチは悪くない。
制作会社も悪くない。
映画化するには時代が早すぎたのだ。


もはやSFの聖書ともいえるフランク・ハーバートの『デューン 砂の惑星』を初映像化した本作。原作を読んだことがある人には伝わるかと思いますが、映像化するのは冗談抜きで不可能に近いです。惹き込まれるほどの壮大な世界観、複雑な人間関係が『デューン』の魅力。そこが本作84年版では全てがチープであり、残念な結果となってしまいました。原作ファンだからこそ本作の出来には失望しました。
だがこれに関しては誰も悪くない。仕方のないことなのだから。

完成当時は4時間以上の作品になっていたものの編集で137分まで収められ、ほとんどが説明不足のままの出来になっています。ポールとレト公爵、ポールとダンカンの関係性、チャニの存在など良いところが抜けて淡々と物語が進むのみ。メンタート、ベネ・ゲセリットの重要性も本作を観ただけではなんのことかサッパリ。ジェシカやハルコンネン男爵の描き方も魅力の欠片すらないものでした。

監督としても最終決定権が無く、悔しい思いをしたデヴィッド・リンチですが、多少なりの不条理なリンチ・ワールドが挿入されています。一般的には失敗作ですが、カルト的作品として楽しむ観ることもできるかと。

そして遂に今年、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によって再映画化。リンチ版から37年も経っているので技術も格段と上がっているのは間違いなし。ドゥニ版は二部構成となってるのでリンチ版よりも『デューン』の世界観を堪能出来ることを期待させていただきます。素晴らしい映像化なのであれば、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は何でも撮れるといっても過言ではないでしょう。

原作『デューン 砂の惑星』は専門用語を覚えるだけでも手一杯ですが、ハマれば抜けばせない面白さですので是非読んでみてはどうでしょうか。
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