ゆきゆき

砂の惑星のゆきゆきのレビュー・感想・評価

砂の惑星(1984年製作の映画)
3.5
ドゥニ・ヴィルヌーヴ版を見た後に鑑賞。うーん、これは確かにカルト映画だ。

まず初っ端から登場するスペーシング・ギルドの航宙士のビジュアルに度肝を抜かれる。喋る脳みそというか肥大化したウーパールーパーというか、ヴィルヌーヴ版にはこんな奴いなかったよ?取り巻きの他のギルドの連中も人間の姿をしているが胡散臭さが半端ない。絶対的な権力を持つ皇帝もそうだが、あの世界は想像以上にヤバい奴らが牛耳ってるのだとわかる。

敵役となるハルコネン男爵の姿も醜悪の一言。自身の快楽の為なら他人の命を踏みにじることなどなんと思わない男だと即分かる。奴隷だか召使いだかの少年を殺して返り血でウットリする姿はいろんな意味でたまんないですね。そして男爵の甥のフェイド役はスティング。ほとんどセリフはなく、パンツ一丁でドヤ顔するばかりなのだが、これが不思議と絵になる。さすがイケメンベーシストの最高峰・スティング様ですわ。

と敵役のインパクトが強すぎて、一方の主人公のポールの印象は薄め。それなりに見せ場はあるのだけど、特にフレーメンと合流してからの展開は駆け足なのもあって、宿命の戦士とか意識する間もなく気付けば反乱を成功させてしまう。この辺りはやはり尺不足を感じざるを得ない。

かなりお金をかけたであろうセットに各特撮シーンなど見所は多い。が、やはり壮大なスペースオペラをこの時代とこの時間で描こうした限界が見えるのも事実。それでも一見の価値はあると思います。
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