けーはち

バレッツのけーはちのレビュー・感想・評価

バレッツ(2010年製作の映画)
3.2
22発の凶弾を撃ち込まれながらも生還した元マフィア(ジャン・レノ)。カタギに戻った彼には復讐の意思はなかったが、襲撃の魔の手が昔の部下や愛する家族にも伸びると、彼は1人1人襲撃者を始末していく。そして襲撃を命令した張本人であるかつての親友にも……

ヨーロッパ・コープ製のフレンチ・ノワールで、「マフィアの家族・友情」がテーマ。家族を取り戻すくだりはいつもの『96時間』風味を帯びていくが、無敵超人ではない初老男1匹ジャン・レノの枯れた味わいと、古い港町マルセイユの煤けた町並みとが哀愁を誘う。とはいえ、『ゴッドファーザー』的な重厚な人間関係の込み入った作風を目指したのだろうが、肝心なところで手ブレカメラのガチャガチャ映像+細切れカット編集が入り、最終的に、重厚なノワール劇にもテンポよくサクッと見られる痛快アクション映画にもならず、115分は少々長いなという印象が残ってしまうのだった。

親友(現役マフィアのボス)が主人公を狙った理由が、「現役時代の彼との約束を一方的に破棄するため彼を消す」といったもので、「引退してカタギになった奴なんか放っておけばいいのに」と思わなくもない。美学とか義理人情こそ任侠の魅力でもあるが家族は大変だ。