Inagaquilala

トゥモロー・ワールドのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)
4.1
「ゼロ・グラビティ」(2013年)のアルフォンソ・キュアロン監督が2006年に発表した作品。撮影は3年連続でアカデミー賞の撮影賞に輝いたエマニュエル・ルベツキだけに、作品の随所で見られる長回し(あるいはそのように処理した)の場面が見どころだ。2027年、繁殖能力を失った人類には、もう18年間も新しい生命が誕生していない。世界最年少の人間がアルゼンチンで刺殺されたというニュースが流れ、世界はますます荒んでいた。そのなかで、ひとり、妊娠を果たした女性が現れる。人類の希望を照らす彼女をめぐって、政府とそれに対立する組織が攻防を繰り広げる。

長回しのワンショットラスト風の場面はいくつか登場するが、圧巻は最後近くに展開される戦闘シーン。カメラは途切れることなく物語を追っていく。こののち、エマニュエル・ルベツキが「バードマン」で見せる超絶のカメラワークだ。原作は、P・D・ジェイムズの「人類の子供たち」という小説だが、ストーリーもしっかりとしており、アルフォンソ・キュアロン監督の、その後の活躍を予感させる観応えある作品だ。途中の「ルビー・チューズデイ」と最後に流れるジョン・レノンの「ブリング・オン・ザ・ルーシー」が印象的深く耳に残る。
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