おはる

トゥモロー・ワールドのおはるのレビュー・感想・評価

トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)
3.6
「 "信念"と"運命"の抗争だ」
人類が生殖能力を失ってから18年。死にゆく世界の中で奇跡的に妊娠した少女。人類最後の希望である彼女を主人公は守ることができるのか!?というお話。

新しい命の誕生という希望をとうに失った近未来。難民問題、テロ、内戦などで荒廃した2027年の街並みは割に今と地続きな雰囲気で近い将来こんな世の中がやって来るんじゃないかと思うほど。そんな世界を手持ちカメラで撮影したような映像でグイグイ写しだしていくのでまるでドキュメンタリーを観ているかのような印象だ。
そして多用される擬似ワンカット映像はさらにその印象を強くする。白眉は何と言っても数分間にも及ぶ戦場のシーン。武器を持たずただ逃げ惑うしかない主人公の後ろをカメラは追いかけ、まるで地獄巡りのように凄惨な死を次々と見せつけるあのシーンは圧巻の一言。これだけでも本作は見る価値があるんじゃないかなと。

まあそうは言ってもストーリーが個人的に色々と釈然とせずイマイチだったのが非常に残念なところ。ただ、てっきりヒロイン枠だと思っていたジュリアン・ムーアのまさかの退場シーンはかなりパンチ効いてましたがね。
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