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血斗水滸伝 怒涛の対決のmitakosamaのレビュー・感想・評価

血斗水滸伝 怒涛の対決(1959年製作の映画)
3.2
スカパーにて。東映によるオールスター総出演の大型時代劇。大勢出るので群雄劇として役が多い。
その上、物語が天保水滸伝。前情報を入れてちゃんと予習して見ないとサッパリ判らん。

実在した俠客。利根川辺りで縄張り争いとした飯岡助吾郎と笹川繁蔵の一家。講談などで語られる天保水滸伝とは笹川の親分が善い者で、敵役として悪の飯岡という図式になる。実際はそうでも無かったようだが。

笹川一家は
◎繁蔵が歌右衛門 ◎雪崩の吉松に大川橋蔵 ◎清滝の佐吉に東千代之介 ◎板割の浅太郎に里見浩太朗 ◎小天狗の美代太に伏見扇太郎 ◎勢力の富五郎に若山富三郎。
さらに助っ人として北辰一刀流の平手造酒(大友柳太朗)。

飯岡一家に
◎助五郎が進藤英太郎 ◎洲の崎の政吉に中村錦之助。

国定忠治役に片岡千恵蔵。助吾郎が接待する役人に月形龍之介。
さらに美空ひばりらが芸者さんとして花を添える。他にもまだ役がある。豪華じゃのう。

基本的な話は、飯岡の嫌がらせに耐え続けた笹川がついにブチ切れて大利根河原の決闘へ。
また飯岡の嫌がらせが一々エグい。冒頭の賭場荒らしのでっち上げ・芝居小屋での横暴。
地元の花会に欠席したので忠治にめっちゃ怒られるが、相撲大会で負けた腹いせに笹川の若い衆をリンチ。さらに祝言席上で雨傘勘次を捕縛。川を塞き止め干潟を略奪。

助五郎は関東取締出役制度ってので岡っ引きとして十手取縄を託されたなど、権力があったらしい。史実は新興勢力の笹川が負けたこともあり、判官贔屓で助五郎が悪役になったようだ。

その分、繁蔵の粋が強調されてる。殴り込みの際に新婚の佐吉を置いて行く際に、「今夜は十五夜か…(嫁さんに)この辺の月は珍しかろう…」と言って言い聞かせるシーン。素晴らしい。月が場所によって変わる訳じゃないが、そう言って新婚の嫁の為に諦めるように諭し、子分も納得する。

また、悪の飯岡一家で唯一の良心、政吉がいる。錦之助がこの爽やかな青年を熱演し、話を奥深くする。

大利根河原の決闘で繁蔵が助五郎を切り勧善懲悪で終わる。が史実では助五郎は生き残り60代まで天寿を全うしたが、繁蔵の方が数年後に死ぬそうだ。
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