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お吟さまのchiyoのレビュー・感想・評価

お吟さま(1962年製作の映画)
3.5
2022/6/4
天正15年、千利休の娘・吟。彼女が慕い続けるのは、キリシタン大名・高山右近。そんな二人を有馬稲子と仲代達矢が演じるものの、表情の変化が乏しいこともあって若干地味に見える。が、最期まで自身の想いを貫き通す吟の芯の強さから、田中絹代が彼女を主人公に映画を撮った気持ちが分かる気がした。そして、終盤の吟の白装束が美しくも儚く、最後となる一家団欒があまりに切ない。しかも、心ゆくまで語らうのではなく、琴を奏でたり茶を点てたり、シーンのひとつひとつから風情を感じる。ただ、吟が嫁いだ先の万代屋宗安、石田三成との共謀はどうかと思うものの、頑なに吟から拒絶されていることに同情する気持ちも。なお、千利休は中村鴈治郎、利休の妻は高峰三枝子、吟の弟は田村正和が演じている。
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