peachfiz

八月の狂詩曲(ラプソディー)のpeachfizのレビュー・感想・評価

3.6
のっけからオルガンの音程が合わず、不安定な物語を象徴する。画面の訴求力がつよい。左右にお婆さんが一言も喋らず向き合う。茶色のまんじゅうのように中身がずっしりつまっている。沈黙していても話している。首のない銅像とその背景の青空と右から左へ移動する白い雲。おぞましいものを見たかななめにひんまがったジャングルジム。エメラルドグリーンの滝。山の合間からあらわれる恐怖の眼。眼と月の対称性。残酷な子どもたち。変化する。欲望にかられた大人たちも変化する。そしてアメリカ人。般若心経、戦争を体験した老人、アメリカ人、アリ、そして薔薇。その情報量。そして狂気を孕んだ圧巻のラスト。なぜ兄に会いにいかなかったか。オルガンの調律は合う。これは子どもたちのメタファーであって、お婆ちゃんではなかったと思う。
peachfiz

peachfiz