拙者、寅と申す
・60〜70年代松竹の稼ぎ頭
・日本文化史に影響を与えた作品
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🔷寅さんの愛称で知られる寅次郎(渥美清)の人情喜劇、お馴染みのメロディを奏で、景気良く饒舌をふるうこの男であるが、そのお節介ぶりは破壊的である。
大胆不敵、暴虐無尽、この男が通った後には何も残らず、人々の失望が溢れるばかりである。しかし、寅さんがそれらを振り返った時の後悔の眼差しに、この映画の全てがある👒👒
🔶道楽者で、馬鹿丸出しで、嘘つき小僧なのは、暴力的な父が原因であると寅さんは語る。やたらめったら突っかかり、物事に水を差す彼の生き様は、自身に対する劣等感と、過去に背いてきた人生に所以している。
チャップリンのようにズッコケたり、人情に泣いたり、失恋し、喧嘩をし、碌でもない嘘まで出て周り全てを掻き回す🌪🌪
しかし、その不器用な寅さんに共感を抱いてしまうのだ。
🔷寅さんの身勝手な行動は、自己中心的なものではなく、むしろ臆病さに起因する自衛手段に近いと思う。
名誉を傷つけられれば憤慨し、西洋の文化に狼狽し、できもしないことを自慢する姿は、何も持たぬ小僧であったいつかの私たちのようではないだろうか。
だからこそ寅さんというこのキャラクターは、視聴者に内在する未熟の像を体現し、それをセンセーショナルな笑われ物として描き出すことで、愛くるしく完成させたのである👶👶
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🐯まとめ🐯
長年、寅さんというキャラクターが愛される理由がなんとなく分かったし、当時の視聴者が寅さんに何を見出していたのか考えさせられる内容でした。負けるな寅さん、頑張れ寅さん