青山

捜索者の青山のレビュー・感想・評価

捜索者(1956年製作の映画)
3.9

先住民コマンチ族に弟夫婦を殺され姪っ子を攫われたジョン・ウェインが復讐の旅に出るお話。



黒い帽子でコマンチへの蔑視偏見を垂れ流す主人公が強烈っすね。言ってること酷すぎてかなり引きました。ただ、彼が作中で弟一家にとっても部外者に近い孤独な男として描かれているから、なんつーかキャラ造形としては納得がいくんですよね。彼の変な妄執みたいなものが、時々入るブチギレスイッチと相俟って西部劇の主人公とは思えぬ非・英雄的な独特のキャラ立ちをしてます。

で、一応おおまかな軸としては、そんな主人公が復讐をしていく話なんですけど、それだけじゃなくて色んな味が詰まったちょっとジャンルミックス的な映画になってるんですね。

例えば、主人公が相棒の混血児と共にコマンチ族の拠点を目指すくだりはロードムービー調で、とにかく景色が綺麗なので異国情緒がヤバイっす。夕日に映える荒野はもちろん美しく、冬の雪降る山もまた綺麗。ストーリーの筋とは関係なしに映像だけでめちゃくちゃエモいっすからね。

はたまた、家に帰ってこれば混血児くんとお嬢さんのラブコメがはじまり、ドリフかよってくらいベタなコントに恋のトキメキと切なさが仮託されていたりして、エモいです。これまた。

終盤の主人公の行動が酷すぎてまた引きましたが、その後の展開はなかなか感動的でもあり、見終わってみるとラストシーンの演出もあって良い余韻が残ります。

西部劇ってまだまだあんま観たことないけど、定石を外しまくった実験的なところはむしろ初心者にも観やすく、めちゃ面白かったです。
青山

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