レレレのお姉さん

歩いても 歩いてものレレレのお姉さんのレビュー・感想・評価

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)
3.8
親戚付き合いの嫌なとこ煮詰めてジャムにしたみたいな映画だった。

終盤の会話が象徴的で好き。
また来て欲しい祖父母ともう行きたくない息子夫婦。

祖父母「次は正月か…」
息子夫婦「これでもう正月はいいだろ。年に1度でたくさんだよ」

私が見た是枝作品はこれで3作目。
いつも血縁関係がない家族が出てくる。
あと残された側からみた「死」も。
いろんな家族の形、遺族の形を描くことにこだわりがあるんだな。

血縁関係があってもなくても、家庭にはその家庭の幸と不幸がある。

父の跡継ぎとして愛され人を助けて死んだ長男と、
父に認められたい思いから兄に劣等感を抱く次男、
亡き兄の思い出に縋り続ける母、
医者を引退して家庭に居場所がない父、
家族の間を取り持ちながら強かに生きる長女。

長女役のYOU好きだなー。
酸いも甘いも知っていながら、
全てを許容し生きるのを楽しんでる感じ。
演技うまいなー。

キキキリンのキキ迫る演ギおそろしいな。
普段はやさしいのに、時々ギョッとするような残酷なことを言う。
親戚の年寄りって感じがすごくする。
取り憑かれたように蝶々を追うシーンも目が離せなかった。
私の母も、祖母の法事の日に、庭に蝶が飛んでいるのを見て、きっと祖母だと言っていた。

父と次男の不器用な交流や、
父の器の小ささが滑稽ながら愛おしい。

父「おい、この家は俺が働いて建てたんだ。なんで『おばあちゃん家』なんだ」


かつてこんなに気まずい、ブルー・ライト・ヨコハマがあっただろうか…!
ブルーライトヨコハマのレコード聴きながらの夕食がこんなに楽しくなさそうなんて想像だにしない。


墓参りでエンディングに向かうのも是枝監督っぽいなと思った。
序盤にでた墓参りシーンのセリフをリフレインで使って終わるのが収まりがよく気持ちいい