是枝監督はある種挑戦的な作品を手掛けた。
兄の命日のため両親の元へ家族が集合。
そこで過ごす1日。ただそれだけだ。
何か特別なことが起こるわけでもなく、事件みたいなものもない。
何も変わらないがその中での家族のやり取りや、いかにも有り得そうなちょっとした出来事を繋げて作られている。
ゆえに共感できるところが一つや二つは確実にあるだろう。
実際同じことを何度も繰り返す母親はいるわけで、別れ際に握手したり、小さく嫁にいじわるしたりなどは頷ける。
この両親のやり取りもありそうな感じがすごくよく出ている。
嫁と姑の会話も面白く、割って入る姉も応酬する。
樹木希林が抜群に巧く、この手の役柄を完璧に捉えている。
YOUも実に自然で是枝作品によく見かけるのも納得。
そして阿部ちゃんと夏川さんは、「結婚できない男」でも競演済み。
だけどやっぱり結婚しちゃったのねと(笑)
それにしてもこの構成でよく2時間弱を飽きずに見せたものだ。
よほど演出がしっかりしてないと難しいはずだが、これが一番の出来栄えだろう。
