観た気でいた。
こんな傑作を。
わたしにとってこの作品はすごいの一言で終始圧倒されてしまった。
「海よりもまだ深く」の姉妹映画というだけあって、シンクロするところがたくさんある。
実は今、これを観たあとすぐに「海より〜」を観ながらこれを書いている。
どちらも歌謡曲の歌詞からとったタイトルというのがまず、くすぐるし、
母、娘から始まるシーンから、息子が電車に乗って実家にやってくるシーン（侯孝賢監督が好きな是枝監督はわざと電車のシーンを入れてるのかな？）、実家に行く前に駅前で一軒寄るところ。そして、バスに乗る。
手土産はどちらもシュークリーム…。
序盤からこの共通点の数々はワクワクする。
わたしもよく母に言われるんだ「あんた、おでこ出した方がいいよ」って、「いいわけないじゃん、富士額のデコ狭だよ、あたし」ってその度に心の中で思うんだけど。
ストーリーは
「15年前に亡くなった兄の命日に、主人公の良多は家族を連れて実家に帰省する」
たったこれだけ。
終始これで家族の団欒、めんどくささや、笑える話や家族あるある的なもので終わるのかなと思いきや、です。
そこは「亡くなった兄」というがベースにあるんだというのを圧倒的なその悲劇の強さを背筋がひんやりするような静かな破壊力で見せつけられました。
この「歩いても歩いても」も「海よりも〜」も母親役は樹木希林さん。
時間を置かずににこの２つをみれたことで、この女優さんの凄さに改めて気がついた。
息子に対する態度が、芯の部分では一緒でも表現がまるで違う。
樹木希林さんは次で是枝監督の作品は最後にするなんておっしゃっている。
それが本当ならとても淋しい。
