「いつもちょっとだけ間に合わない。」
次男、良太の言葉。
個人的にめちゃめちゃ腑に落ちた言葉。
何が起きるわけでもない。長男の命日に家族が集まり、御飯を食べたり、雑談したりしているだけ…の、中に非常にリアルな人間関係が存在する。それぞれの立場が、何か解る。
母の、それぞれの子供に、兄弟の愚痴をこぼしてくるところ。
孫には甘いところ。たまに見せる闇。
そして、やたら御飯を食べさせてくれようとするところ。多い。多分、子供が一番食べる時のまま、記憶がアップデートされていない。
父の、不器用さ。
何か知らんけど、突然ムキになってつっかかってくるところ。
構って欲しいのか、急に姿消すところ。
何故か、会話があまり続かない。
子供の時は、普通に喋っていたが。
娘の実家での羽を伸ばす感じ。
実家から帰るときに、やたら何かもらってしまう。
そして、お嫁さんの気疲れと、ちょっとした疎外感。お姑さんの息子への愛情に対する微かなイラだち。いや、子供ちゃうんやから、みたいな軽い反発を無意識に覚えたり。めっちゃ良いお姑さんでも。男性が妻の実家でアウェイと、女性が夫の実家でアウェイは、ちょっと違いますからね。
何が起きるわけでもない。なのに、ある家族の一日をずっと見ていられる。
そして、家に帰りたくなる。
私は父に対して、ちょっとだけ足りなかった。母に対しては、足る事ができるだろうか。
