めしいらず

欲望という名の電車のめしいらずのレビュー・感想・評価

欲望という名の電車(1951年製作の映画)
3.6
男の屈折したプライド。堕落した己を取り繕うほどに痛々しさを増していく女。二人の抱えた暗部が互いの暗部を相照らす。触れずにいればそれで済む彼女の過去を敢えて掘り返し責め立てて止まぬ男。それは女の厭たらしい態度によるものだ。辱められた女の反射的な開き直り。男は彼女の立ち直るきっかけを奪いさらに追い詰める。そして危うかった彼女の心はとうとう壊れてしまう。「”まっすぐ”ですって?線路や道路ならともかく、人間の心なのよ」。様々な人間関係を経た上で真っ直ぐな心のままでいられる者などあろうか。主演二人の鬼気迫る名演に尽きる。観ているのが辛くなるほど。
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