てるる

K-19のてるるのレビュー・感想・評価

K-19(2002年製作の映画)
3.0
ソ連において長い間封印されてたらしい実話黒歴史。

冷戦時代、アメリカと競って軍拡をしていたソ連が突貫工事で製造したのがK-19という原潜。
なんと出航前から関わった人が何人も死んだという曰く付き。その為、訓練が十分でない乗組員もおり、そりゃ事故起こるよね!という言わずもがなという展開。その事故が原子炉がメルトダウンする危険性があるヤバい事故だったという話。

昔劇場で観たときも思ったんだけど、全然感情移入出来ない!
原子力のこともある程度詳しくなり、以前観たときと印象変わるかなと思ったのに…。

そもそもこの事故や、アンテナ壊れて助けを呼ぶのが遅くなったのもハリソン・フォード演じる新任艦長が「艦と乗組員の限界を知る必要がある!」とかのたまって無茶な潜行したからだし、対立していたリーアム・ニーソン副艦長の心変わりも唐突過ぎて「な、なんでぇぇ!」てなる。
むしろ反乱を起こした士官と政治局員とかいう人に同情…実話ベースだから仕方ないかもだけど、140分近い割には登場人物の描き方が浅いかな。

そんな不満はあれど、個人的に犠牲心ものが好きなので被曝覚悟で原子炉に突入していった乗組員達には感動したし、敬意を評したい。
最初に入った二人は防護服で放射能を防げるとか言われて入ったからまだしも、二組目は一組目が皮膚が爛れてゲロ撒き散らしながら出てきたのを見たにも関わらず突入したのが凄い!
そして彼女の写真を見ながら「結婚するんだ」とフラグを立てまくるピーター・サースガードがなんともはや(´;ω;`)

それにしても防護服は汚染物質が直接付着しないようにするのが主な目的で、厚い鉛でも入ってなきゃ放射能はほぼ防げないものなのに、チェルノブイリの時もこれで防げるとか言われて原子炉に突入して何百人も死んだと言われてる。
しかも最初政府は事故を隠蔽しようとしてて、スウェーデンが高線量に気付いて調査開始したからバレたという経緯があるし、ソ連というお国柄なのかねぇ…

潜水艦ものとしては魚雷戦なども無いので「クリムゾン・タイド」や「Uボート」「レッドオクトーバーを追え」などの名作に比べると緊迫感に欠けるけど、二大俳優の対決が見たい人にはオススメ。
全員ソ連軍人のはずなのに英語でしか会話しないことに違和感は拭えないので、逆に日本語吹替版で観たほうがいいかも。
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