あーさん

ピカドンのあーさんのレビュー・感想・評価

ピカドン(1979年製作の映画)
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こちらは、YouTubeで観られる短編アニメーション映画。

画質、音質共にあまり良い状態ではないのだけれど、フォロワーさんのレビューを読んで気になっていたので鑑賞。

冒頭の、のどかで平和な家族の様子。
平家風の日本家屋(畳、ちゃぶ台)を背景に描かれる日常。
お母さんが朝雨戸を開けて、一日が始まる。小さな男の子が紙飛行機を飛ばしたり、お姉さんが鏡台で身だしなみチェックしたり。どこにでもある家族の風景。

それが、1945年8月6日8時15分の時を刻んだ途端、一変する。

広島に原爆が落ちた瞬間からの街や人の変わりよう。。言葉を失う。
半世紀生きていたらあちこちで見てきたから知っているとは言え、ここ暫くは原爆を扱った作品からは遠ざかっていたので、やっぱりリアルだなぁ、、という印象。
皮膚が焼けただれてぶら下がった人が街をさまよう様子や、倒れている人を助けようとして手を引っ張ったら骨と肉が離れる描写…等には、自然と顔が歪む。
ああ、そうだ、そうだった。こんなに酷かったんだった。。

戦争を知らない世代が増えて、戦争の記憶がどんどん薄れていくことは、良いことであると思う。それは、今平和かどうかは別として、日本が少なくとも戦争の状態ではないということだから。
でも、歴史の生き証人がいなくなるのはどうなんだろう?
同じことが起ころうとした時に、そっちはダメだ!と経験値から言える世代がいなくなってしまったら。。
だからこそ、そうならないようにその世代の人達が渾身の力を振り絞って伝えようとしていることを、私達は引き継いでいかなければならないと思う。

この短編を観た人が、少しでも戦争を知ろうと思ってくれたら…と願ってやまない。




*追記
レビューがなかなか書けなかったのは、戦争物ということで肩に力が入ってしまったのもあったと思う。
今作の後に、だいぶ前に録画したままだった"ひろしま"という映画についてのドキュメンタリーと"#あちこちのすずさん"というNHKの戦争体験についての番組を観て、深く考えようとしすぎていた自分に気づき、とにかく観たままの印象で良いのでは?と思ったら、スッと筆が進んだ。
テーマが重いだけに、あれこれ調べて考えて、、となってしまうのだが、少しずつ、一歩ずつ自分のペースでもいいのかな、と。
こうあるべきだ!となるとやっぱり腰が引けてしまう私。自分のタイミングで観るのが、一番心にストーンと来るよねって思う。

いつか、"ひろしま"は観てみたいと思っている。"この世界の片隅に"の完全版も。
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