茜

ザ・チャイルドの茜のレビュー・感想・評価

ザ・チャイルド(1976年製作の映画)
3.5
孤島へバカンスにやってきた夫婦を襲う子供達の群れ。
これがテレビで放映された時代があったなんて凄い。
今だったら放映どころか製作すらも無理なんじゃないかな…世知辛い…。

冒頭、実際の映像を用いてナレーションと共に戦争や疫病で苦しむ子供達の映像が長尺でじっくりと流れる。
「いつだって被害者は子供達だ」みたいな思考を視聴者に刷り込むための演出なんだと思うけど、結構クドくてダレた…。
でも本物だけあって映像自体はショッキングで、この後に起こるストーリー展開とのギャップが凄まじい。

尺も長いし、前半の展開なんか特にスローだし、BGMは極端に少なく静かなシーンが多い。
普通だったら途中で観るの辞めちゃうようなタイプの映画なんだけど、本作に至っては続きが気になってずっと集中してた。
寄ってたかって笑顔で大人をなぶり殺す子供の姿って、どんなおぞましい見た目の殺人鬼よりもゾッとする。
奥さんが妊娠中っていう設定も物語においてデカいし、途中で二人が「やっぱり堕ろそうか…」なんて会話をしていたのも後々考えると何とも…。

子供達からの一方的な攻撃ではなく、大人からの反撃が描かれているところが好感度高し。
マシンガンぶっ放しと船上でのしばき祭りにはテンション上がって変な笑い出た。
ただ自分が子供そんなに好きじゃないせいか夫婦の葛藤や悲観に深くは感情移入出来なかったし、オカルト要素もそこまで響かずだったけど、後味悪い映画が好きな人は気に入ると思う。
恐怖を描くホラーとしては良作だと思うけど、一先ず私は明るく賑やかなおバカホラーが観たくなった。
茜