リンカーンとケネディの人生に、多くの類似点があるとは知らなんだ。
虚構の着想点として魅力があることは充分に理解可能、パラレル・ワールドとはまた異なるパラレル・ライフを題材に、サスペンスが展開されている。
メインを占めるのがチ・ジニ/イ・ジョンヒョクで、いま観ると地味なキャスティング。
またパク・ビョンウンは別としてハ・ジョンウがサブキャラを甘受したのはこの時期が最後であろう…、2010年代を駆け抜ける競走馬の格付けがフィックスされていない混沌を垣間見れるのは、面白い。
クライマックスでは淫乱人妻エピソードが表出、保守大手のCJ配給作が家族愛演出に頼らず、脚本の初志を貫徹させているのも、この時期ならでは。
韓国社会のエリート・判事の自宅や職場が主要な舞台となっているため、庶民感覚も希薄だった。
編集にはフラッシュバックが頻出、チ・ジニの映画デビュー作『H』を彷彿とさせる場面も。
冒頭の取り調べ室モニターに映る白髪の爺が、未知の生命体に観えるのは怖い。