千年女優

おもひでぽろぽろの千年女優のレビュー・感想・評価

おもひでぽろぽろ(1991年製作の映画)
3.5
82年、東京で働く27歳になるOLで、夏季休暇を利用して姉のナナ子が暮らす山形へと向かう岡島タエ子。あけぼの3号の車中でかつて三姉妹の末っ子として育って田舎暮らしに憧れた小学生の頃の思い出を回想する彼女が、滞在先の青年トシオとの出逢いを経て農家暮らしへの憧れを再燃させて迷いを感じる様を描くアニメーション映画です。

後に再評価されるも興行的に苦戦した黎明期の四作を経て『魔女の宅急便』で初ヒットを記録したジブリがスタッフ社員化を実現させて制作した高畑勲監督作品で、岡本螢原作・刀根夕子作画の漫画を時代性を反映する映像や今井美樹らの声優の拘りの演出で映画化して18億円の興収を得るも投入費には及ばず次の成功を急ぐこととなりました。

古今東西に多くあるノスタルジー物語でありながら、いかにもバブル末期な都会疲れからくる「田舎アコガレ」を簡単に良しとはしない高畑らしいビターさで定型にあるスウィートネスを緩和します。それでも尚全体として消化不良の感はありますが、郷愁と共に「足かせ」でもある過去に囚われた人物が明日へ向かう様に共感を促す一作です。
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