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おもひでぽろぽろのmugiのネタバレレビュー・内容・結末

おもひでぽろぽろ(1991年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

もう何回も何十回も見ているはずなのに、見る度に心の琴線に触れる不思議な作品。
それはきっとわたしが、素直に分数の割り算が出来たリエちゃんタイプではなく、頭悪いのにこだわっちゃうタエ子ちゃんタイプだったからかな。

今回印象に残ったのが、
本家でトシオとの結婚話を切り出され、タエ子が本家を飛びたすシーン。
いきなりそんな話をされた不躾さに戸惑って飛び出したんじゃない。
厳しい冬も農業の現実も知らずに、いいとこですねを連発した自分が、
自分の”田舎”に対する考えの甘さが恥ずかしくて、それを見透かされた気がしてそこに居られなかったんだ。

『お前とは握手してやんねぇよ』
小学5年生の時、転校してゆくアベくんに言われた言葉。みんなの様にこそこそ陰口を言い合って嫌うのはよくないって絶対仲間には入らなかったけど、いっとう汚いって思ってたのは実は自分だった。アベくんはそれに気づいてた、だからわたしとだけ握手しなかったんだ…そんな自分が後ろめたくて情けなくてずっと消化できずに引っかかっていたことが、いまの自分と重なり再び蘇る。

27歳のタエ子は、昔の自分を懐かしんでいるというより、いまだに小学5年生の自分が自分の中にいて、いまの自分に問いかけているんじゃないかな。

広田くんとタエ子ちゃんが同じ天気が好きで、『あ、おんなじだ』て、いろんなものを通り越して通じ合えたように、『”おもひでぽろぽろ”がすき』て言われたら、それだけでその人をその感覚を信用しちゃうかも。そのくらいわたしの核となってる作品。
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