カツマ

プレステージのカツマのレビュー・感想・評価

プレステージ(2006年製作の映画)
3.8
クリストファー・ノーランの作る映画は正にマジック。時間軸を操作し、観るものを幻惑し、最後のワンカットまで油断は禁物だ。そんな彼がマジシャンによる骨肉の化かし合いを撮ったのだから、完全無欠のノーランスタイルが徹頭徹尾貫かれた作品になっている。気付いた頃にはもう遅い。分かってた、分かっていたのに・・!と地団駄を踏まずにはいられない。マジックで溢れているのは劇中だけではなく、これは鑑賞者をも巻き込んだノーランの壮大なマジックショウなのだ。
常連俳優のクリスチャンベイル、マイケルケインらはバットマンシリーズから続投。チョイ役でデヴィッドボウイが出演していることに果たして気付けるか。

『偉大なるダントン』ことロバート・アンジャーは一世一代の奇術の最中に溺死。その犯行を企てたとして、同じくマジシャンのアルフレッド・ボーデンが逮捕された。そして時は遡り、2人の因縁の始まりが語られる。
アンジャーとボーデンは、ステージの仕掛けを兼ねた助手、いわゆるマジシャン下積み時代。同じく助手であったアンジャーの妻は、ボーデンの不手際により命を落としてしまう。それ以来、ボーデンはアンジャーを敵視し、ついにはショウの最中にボーデンに復讐。ボーデンは大怪我を負った。
だが、痛手を負ったボーデンもアンジャーに反撃。瞬間移動のトリックの競い合いは激化していき・・。

基本的にはトリックで騙し→そのタネを見破り→更に騙す。の繰り返しが最後の最後まで繰り返される。果たしてタネはどこにあるのか。確かにヒントは出されているのがノーラン流。しかし、鮮やかに騙されてしまうのもまたノーラン流なのだ。
愛するものを不幸にしてまで得たいと思ったものは果たして何だったのか。狂気のその先へと突っ走る2人のマジシャンの闘いは、燃え盛る修羅の炎に焼き尽くされていった。
カツマ

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