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くそガキの告白のkaitomoのレビュー・感想・評価

くそガキの告白(2011年製作の映画)
4.5
主人公の馬場は、32歳の穀潰し。映画監督志望。何の取り柄もないブサイクな彼にしか撮れない映画、そんなものがあってもいいじゃないか…。
これはキツい。キングオブコメディ今野から発せられる怨念に飲み込まれそうになる。
ブサイクがこじれると、コンプレックスばかりが膨らみ、どんどん卑屈になっていってく。彼女なんか絶対できない。
「こんな俺にしか、わからない世界観がある!」なんて事を信じたくてしょうがないけど、結局怠けてしまって、ロクに仕事もしないので、いつまでも自立できない…。
こんな無様な男をここまで真正面から、描いた作品があっただろうか。間違いなく、こういう人間の気持ちをわかっている人ではないと描けない作品である。
他にもこの映画は沢山の旨味が詰まっている。ホラーテイスト、「映画」というものへのメッセージ、長回しによる役者のバトル、世にも気持ち悪い告白シーンなどなど。
主人公の馬場は「映画には面白い面白くないを越えた何かが映る事がある!」と述べるが、まさに映っているのだ。この映画には。
映画が彼を満たすための道具となっていき、「映画に対して失礼」な行為をしているのにも関わらず、そこに喜びを覚えていくという流れが非常に面白かった。
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