ハレルヤ

残菊物語のハレルヤのレビュー・感想・評価

残菊物語(1939年製作の映画)
4.0
歌舞伎の世界で人気を博す二代目尾上菊之助。親の七光りだけで、実力は伴っていない現状を指摘してくれた義兄弟の乳母のお徳と恋に落ちる。身分違いで様々な困難が降りかかる2人の運命を描いたドラマ。

1939年という今から80年以上前の作品。デジタルリマスター版で鑑賞しましたが、出だしから「画質悪っ!」「画面暗っ!」「台詞聞き取りづらっ!」の三重苦。リマスターしてこれかよ…と先が思いやられて、リタイアするか悩みましたが、これだけの高評価。辛抱して続きに臨みました。

ストーリー自体は「ロミオ&ジュリエット」の昔の日本版という感じ。立場が違う2人だけど、慢心を改めて歌舞伎役者として巻き返しを狙う菊之助。彼を影で支えるも病に倒れるお徳。そんな2人の物語。

80年以上前からこういったストーリーを確立しているのも凄いですし、何せ撮り方も半端無い。1つの場面をカットを切らずにそのままワンカットで収めるという手法。場面によっては長時間に及ぶ会話の応酬を長回しで撮りきる。そんな場面がいくつもあるから更に凄い。

これは見る側も入り込みますし、演者の実力も集中力も引き出されるもの。気がつけば2時間半近くの時間が過ぎていましたし、最初に感じた三重苦も知らぬ間に忘れていました。溝口健二監督の作品は今回初鑑賞でしたが、名匠と呼ばれるその手腕をしっかりと感じ取れた作品でした。
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