JUN

セブンティーン・アゲインのJUNのレビュー・感想・評価

セブンティーン・アゲイン(2009年製作の映画)
3.9
もしあの頃をやり直せるなら?
今とは違う選択をするだろうか。

第一次ザック・エフロン絶頂期の本作は、過去の自分に憧れを抱く主人公・マイクが、ひょんなことから、17歳の体に戻ってしまうというもの。自分だけが17歳に戻り、同じ高校に通ったとしても、そこに当時の同級生なんていなくて、通ってるのは娘・マギーと息子のアレックス。もう一度絶頂期をやり直し、今と違う人生を、手放したはずの栄光の道を選択しようとするマイクですが、いじめにあい引っ込み思案なアレックス、最低な不良に心酔するマギーをみて、今の自分が子供達にとってどれだけ無力であったかを知ります。そして、アレックスの友人として自身の妻・スカーレットと接し、彼女の嘘偽りのない本心を感じることで、自分が嘆いていた現在がどれだけ尊いもので、それを台無しにしていたのは他でもない自分の"後悔"であるのだということを学びます。

すごく心温まるストーリーでした。
誰しも、多かれ少なかれ後悔はしていて、過去の自分に憧れていたりします。でも、実際は、どんな選択をしても、自分が今の自分や環境を愛することができれば、後悔なんてする必要はない、ということを教えてくれます。
主人公・マイクの場合は、自分の後悔を他人にぶつけ、他人のせいにすることで、自分を正当化してきました。しかし、多くの映画が描いているように、自分以外の人にも人生があって、勝手にその価値を決めつけ、自分の価値観を強要する事は、とても心が貧しいことなのです。

個人的に、トーマス・レノン演じるネッドがすごく好きでした。彼は独り身でありながらも事業で成功して、自分らしく生きてきました。コレクションだらけの家、ゲーム三昧の日々。それでも、困っているマイクを助け、明るく自分に正直なネッドは、マイクと対照的存在であり、この映画の象徴のような存在です。

本作をベスト映画のひとつにあげる方もそれなりに多くいるイメージがあるのですが、それも納得の、大人が観るべき半青春映画でした。


本作と関係はないのですが、近頃『SKAM France』を一気見しておりまして、そこでS3のLucasとEliottのやりとりがすごくこの映画にふさわしくて、尊いなと感じたので、メモ程度に記述しておきますね……


「何かを決断しなきゃいけない時、常に2つの道があると思うんだ。選ばなかったもう1つにどんな可能性があったかなんてわからなくて、それがすごく苦しいんだ。」

「正しい道を選んだとは思わないの?」

「もちろん思うよ。」

「僕は、何かを選ぶ時、並行した別の世界に別の自分がいると考えるんだ。そうやって別の世界の自分を通して、僕たちは色んなことができる。」


すごく尊い考え方ですよね…
選択を後悔だとは思わない人生って、すごく豊かな気がするのは、私だけでしょうか?
JUN

JUN