先日、黒沢清監督の「スパイの妻」を観て、演劇風のセリフ回しと、愛する人から最後に突き放される流れはどこかで観たことがあるなと思っていたら、思い出した!
この「残菊物語」だ。
溝口健二監督の戦前の作…
これは身分違いの恋というより、身分は違うんでしょうけども、親からの反対がもともとにあるにせよ、もっと二人の本質的な違いなんでしょうね。長回しで撮ることで二人の心の襞のようなところまで垣間見れるので、…
>>続きを読む1939年の溝口作品。非恋を描いた名作。戦前、既に完全な溝口健二ワールドが構築されていたことに驚く。
脚本が素晴らしく、一切の無駄がない。ラストの船乗り込みのシーンは見事。ここに描かれた明と暗、表と…
台詞の聞き取りづらさはあるものの、二時間を超える大作であり、重厚感は終始続く。溝口ならではの俯瞰的なショットが、まるで私達が二人の動向を盗み見ているかのような気持ちになる。
芸能の血を引く家に生ま…
このレビューはネタバレを含みます
病床につくお徳に会って、菊さんが階段を降りようとして一つ段差を降りかけてから振り返るところ、目を見張るほど美しかった。
全てが必然性の中を流れるような、そして歌舞伎的な肉体の動きへの徹底的な意識が…
溝口の長回しスタイルが1939年当時、既に完成してることに感嘆した。私的日本映画の傑作ベスト5にはランクインするかも
長回しの時間軸で役者の動きを緻密に考慮して設計されたであろうセット美術と撮影が尋…
名作という評価が確立し過ぎていて、どのレビューを見てもどこかで読んだようなステレオタイプの褒め言葉ばかりが並んでいて呆れる。自分の眼で映画を見ていない証拠。
そんなノイズと先入観を遮断して、作品を…
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