教祖カニパンダ

ブレックファスト・クラブの教祖カニパンダのレビュー・感想・評価

ブレックファスト・クラブ(1985年製作の映画)
5.0
アイデンティティー
口に出すことは簡単だけれど、築き上げるのは大変難しいもの
若干のネタバレがあるかもしれないのでご注意下さい。

土曜日の補修に参加させられた爪弾き者の男女5人。一見、性格も好みもバラバラな5人が紡ぎ出す青春なお話。

友達ってなんだろう?
一般的に言うと好みが合う人、話していて楽しい人が挙げられると思います。

ですので今作品の5人の間には友情は生まれないのかもしれません。(作中でもそのような発言があります)

ただ、この5人の間には友情以上のものが生まれたと思います。

それは何故か?
自身の秘密を共有したからです。
家族にも言えない、ましてや友達になんて…と言う重大な秘密をです。

皆さんにもあると思います。誰にも言えない秘密が、私にだってあります。

彼・彼女達は誰にも言えなかった秘密を共有したのです。友達どころか会って間もない人間に対して。

個人的な考えとして、高校生という多感な時期だからこそ摂れた行動なんじゃないかと思います。

大人になると経験と共にアイデンティティーが構築されていきます。
自己が確立されるとある程度は他人に頼らなくても生きて行く事が出来ます。

でも、彼等はまだ高校生。自己の確立は出来ていない上に、各々に降り掛かる大きな問題。誰にも言えない。

そんな時に、自分と同じぐらい悩んでいて、誰にも言えない秘密を持った同級生が現れた。

語弊がある言い方かもしれませんが、彼等は誰かを『許す』ことを学んだのだと思います。そして、自身を『許す』ことも。

相容れない存在に出逢った時こそ、人間は成長出来るのかもしれません。